Takecの本ブログ

好きな本について。毎月『きっかけ読書会』を主宰。

大分断

『大分断』エマニュエル・トッド

 

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エマニュエル・トッドは、フランスの歴史人口学者・家族人類学者で、人口統計による定量化と家族構造に基づく斬新な分析で知られています。


彼はソ連の崩壊や、イギリスのEU離脱、トランプ誕生など歴史の大転換の出来事を予言してきました。


世界情勢を分析した、彼のシャープな発言が爽快で、私もリスペクトしています。


今回は彼の最新作ということで、興味を持って読んでみました。


世界情勢に対する分析とコメントはさすがです。


日本にいくばくかの無秩序を、というアドバイスや提案も納得いくものがあります。


そしてこの本を読んで改めて、学習、読書、教育が大事で、私も自分に対する自己投資や読書費用はけちらずどんどん使っていこうと思いました。


あとは、人との会話での、絶対値分析法はけっこう面白いなと思ったので、やってみようと思います。

 

自分の啓発になるポイントだけですが、本文の内容を一部紹介します。


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私は学ぶという行為自体が目的になるべきだと信じています。学ぶことで良い人間になれます。そして、知るということ、それ自体が良いことだと思うのです。


教育が格差をもたらした。


ごくありふれた庶民たちは、月末に勘定をトントンにして、税金を納めて子供を育て上げる必要があります。そのために働き、生き延びるという、ある意味シンプルな幸福がそこにはあります。私は人間とは生きるようにできているのではなく、生き延びるようにできているのだと思っています。


収入と教育には強い相互関連があるということを鑑みても、社会階級闘争は教育階級の闘争に取って代わったと言ってよいでしょう。


主にフランスでの計算と読解のレベルの低下は、視覚的な娯楽が増加していることと関連しています。テレビ、そして動画などが広まることで人々は以前ほど読書しなくなっているのです。


6歳から10歳の子供たちにとって、何よりも大切で確かなことは、この時期にしっかりと読書をさせると能力の高い子供になる、ということです。なぜならば読書という行為が脳をフォーマットする機能を持っているからです。ですからこの時期を逃してしまうと、もう遅いのです。


本が多い家庭で育つということが子供にとって有利な環境であるというデータもあります。


本当に頭の良い人間になるためには、1人で考える時間が欠かせないのです。


移民を受け入れなければならない


日本に不可欠なのは、女性が普通に仕事をして子供を産める環境が、整うことです。


これからの日本に必要なのな「少しばかりの無秩序」であると私は謹言したい。男女間での無秩序、家庭内での無秩序、そして移民を受け入れることで発生する無秩序。


絶対値による会話分析法


アイテムとプラスマイナスの記号
アイテムに取り憑かれている


効果的な分析法
大抵の場合、人は気がかりになっていることについて、真実とは逆の記号を付随させて表現するものだからです。


賞賛や糾弾というようなプラスやマイナスの記号はまず無視して考えてみなさい。そして何が立ち現れるのかを見てみなさい。


要するに、新しい事象はよく真実とは反対の見かけで立ち現れるのです。これは私にとって重要な分析ツールです。