Takecの本ブログ

好きな本について。毎月『きっかけ読書会』を主宰。

ローマ教皇にご報告

『クアトロ・ラガッツィ 上 天正少年使節と世界帝国(上)』

若桑 みどり

 

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歴史に学びたい。最近その思いがあります。この本は出口治明さんのおススメで、徹夜で読み通したという本ということで読んでみる ことにしました。

 

あらすじを少し紹介します。信長の時代に、日本にキリスト教が来て広がっていきます。布教の運営側と宣教師たちは日本人の資質の 高さと優秀さに気づき、その実状と成果の報告とともに、日本の布教のための財政支援を受けるために使節ローマ教皇の元に送るこ とになります。

 

その過程でたくさんの話に触れられていました。

 

仏教徒キリスト教の対比
・信長のキリスト教に対する姿勢
キリスト教の世界布教の理由
キリスト教の布教において学ぶ点
・現代にも通じる啓発されるポイント

・ヨーロッパと日本における、法と正義の違い

 

などなど。
さまざまな歴史家の分析や書籍やコメント、オフィシャルな文書等からの引用も多く、考察がとても深く、読み応えがありました。

 

全体として学びがあったのは、井の中の蛙ではいけなくて、世界の情勢や動向を知ること。そして最新技術の導入と教育の重要性です 。

あとは、海外に出てやっていくためには現地の人の心や習慣に合わせていくことです。

 

自分も海外の最新の世界情勢や経済やビジネスの動向を知っていく 必要がある、またテクノロジーの活用ももっとしていかないといけないと思いました。教育は言わずもがなで、読書や勉強、経 験に対する投資は惜しまないようにしようと思いました。

あと、今後、海外に出る機会があれば、現地の人の習慣や心に自分が合わせていくようにします。

 

本文の内容を一部紹介します。

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仏教徒キリスト教との対比】
キリスト教の仏教の対比 慈悲
貧乏な人が宗教に救いを求めた
神の国での平等な幸福を約束してくれる

 

キリスト教が敗北した原因日本で
神仏信仰と拮抗したからだけではなく、封建社会の道徳が破壊され る危険があった

 

主君の命令には断じて従う封建制
主君の命令より自分の信仰を大事にするエステバン

 

新しい宗教に走ることは、自分の身分や地位、そして経済的基盤や支配の形式さえも破壊の危機にさらすことになってしまう

 

仏教⇨輪廻、涅槃、業カルマの概念
この罪過の重荷が消滅しなければ、魂は動物や人間の中で何度とな く生まれ変わる
キリスト教人間の霊魂は不滅で、動物などには生まれ変わらない
いまのままの自分が体を脱ぎ捨て、生きていたときの行いの結果によって救われる

 

仏教の女性蔑視、差別
女性は本来不浄
何の罪もないのに地獄行き?キリスト教には救いがある
改宗したのは女性が多かった

 

キリスト教の布教において学ぶ点】
当初のカブラルの方針には問題が
自分が日本人の心や習慣に合わせるのではなくわ自分の心や習慣に 日本人を合わせようとした
キリスト教が全世界の異なった文明と交わる時に犯した大きなあや まりのひとつだった


対してヴァリニャーノ
われわれが、あらゆる点で彼らに順応しなければならない
ザビエルが開始し、ヴァリニャーノによってかたちづくられた
高い立場から一方的に押し付けては、従わせることはできるかもし れないが、心に会うことはできず、ほんとうの教育はできない
順応策

 

キリスト教の世界布教の理由】
キリスト教の堕落ルターの宗教改革
なぜ世界布教なのか
カトリックがヨーロッパ内部で多くを失ったからヨーロッパ内での 回復は難しかった
失地回復のため、植民地で住民をキリスト教化しようとして宣教師 を送り込んだ

 

【スペインの没落の原因】
16世紀、世界の中心に位置しながら、ヨーロッパ世界経済を自国 の支配的社会階層の利益に結びつけることができなかった
スペインは基幹となる工業を興さなかった
支配階級が商業や金融業に従事して資本を溜めることをしなかった 。豪奢な芸術に資金を浪費し、産業や商業ではなく、土地に投資し た。

 

使節派遣の目的】
生まれたとき、幼い時に洗礼を受けた人間を、利益または知識によ って改宗した人間よりも好んだのである
少年は、キリスト教が、この日本という大地に蒔かれて、はじめてそこで採れた初穂なのだ。
布教以来30年、いまやっと初穂が取れた。だから少年をローマに送るのである
教育は未来への種まき
日本人の素晴らしい資質からみて、必ずやアジアにおける最高のカ トリック協会を築き上げるべきこの日本の布教を支援する、真の、また最高の責任者は普遍協会の長であるローマ教皇その人でなけら ばならなかった。
教皇使節を送ろう、ヴァリニャーノはそう決心した。

 

王ならびに教皇に対して、日本への物質的なまたは精神的な援助を 求めること
日本人にキリスト教の栄光と偉大さを知らせること

日本人は自分の国と中国が最高と思ってる
日本人に他の国を見せること。知らせること。
つまり自分たちが知っているわずかな国ののかには国がないという 考えをとりのぞくこと。


【信長のキリスト教に対する姿勢】
「遠い異国からきたんだから名誉なことだ」
仏教や神道の勢力…自分たちの権益や利益を今まで通り保証するために、新しい宗教を 排斥する
仏教の勢力をなんとかしなければ天下を掌握できないと思っていた
遠くから来た宗教をさが仏教の専制的支配を崩し、少なくとも、相 対化して平地にしてくれるのならば、そらは大いにけっこうだ

自由に都に滞在できるように免許状を出す殿下の偉大さが世界に広 まるだろう
嬉しそうな顔を見せた

宣教師の京都での居住を許可 将軍の制札も

新しい宗教の到来によって既存の勢力をつき崩すことになるならそれは心の革命であって、血は流されることはない

信長は国内ではなく、国外にまなざしを向けている人間だということを示している

信長はあるとき、フロイスに向かって、よはおまえたちの神を信じない。日本の神も仏もだ、と言った。もしそれがほんとうなら、 信長がキリスト教を保護したのは、政治的な理由のためである

彼はみずからが神になること、そして中国を征服し、アジアの支配 者となることを考えていた
秀吉は信長の計画を継承し、失敗したにすぎない
信長はイエズス会の布教活動、さらには南蛮諸国の貿易と一体化し て植民地政策と連動して全国制覇を遂行しつつあっ

 

将来の教育のために印刷所を開くつもりだったヴァリニャーノの深謀遠慮

印刷技術を輸入して教えを広めるという計画は、ヴァリニャーノに とって使節派遣と同じくらいだいじだった


使節が見たこと。日本と欧州の対比】
法と正義
ヨーロッパでは、王自身さえ同じ法律に服しておられる

日本⇨機嫌、癇癪、怒り、憎しみ、恐れ、心の動揺で他人の過失を判断→ 極刑


●面白かったこと

アルメイダ

マカオとの交易によって日本の布教が支えられていた

商人が神父をした

 

ヴァリニャーノが見た日本の五大悪

好色、裏切り、虚言、残酷、泥酔

仏僧男色


歴史上稀代の女狂いは秀吉

 

自己啓発

女性の本性として妬み深い

 

われわれが、あらゆる点で彼らに順応しなければならないほんとうの布教をするには、なによりも宣教師が日本語を知らなけ ればならない

 

信長は国内ではなく、国外にまなざしを向けている人間だということを示している


世界の外を知らないといけない 井の中の蛙は×

 

最新技術の導入と教育の重要性