Takecの本ブログ

好きな本について。毎月『きっかけ読書会』を主宰。

栄光と落日

『クアトロ・ラガッツィ 上 天正少年使節と世界帝国(下)』
若桑 みどり


f:id:freude-am-lesen:20210118084934j:image


以前に上巻について書きましたが、下巻を読み終えたので振り返りも含めてご紹介です。
 
歴史に学びたい。最近その思いがあります。この本は出口治明さんのおススメで、徹夜で読み通したという本ということで読んでみることにしました。


あらすじを少し紹介します。信長の時代に、日本にキリスト教が来て広がっていきます。布教の運営側と宣教師たちは日本人の資質の高さと優秀さに気づき、その実状と成果の報告とともに、日本の布教のための財政支援を受けるために使節ローマ教皇の元に送ることになります。


上巻は、使節がスペインの国王に会うところまで、下巻は使節がローマに着いて、ローマ教皇に会うところから始まります。


その後帰国、秀吉の支配→伴天連追放令→殉教 →家康、徳川の禁教令と鎖国という時代の移り変わりの中で、日本でキリスト教が衰退していく、落ちていく流れになります。


最近自分で九州に行ってきて、現地で関連する歴史スポットにも行きましたが、理解が深まりましたし、想像以上に劇的な歴史の転換点を現場で感じることができました。


26聖人殉教の場(長崎の西坂)
隠れキリシタン崎津集落(熊本の天草)
世界文化遺産の天草キリシタン館、コレジョ館
天草四郎ミュージアム
島原の乱の現場(原城跡)


など。


一方で残酷で衝撃的で胸が痛い部分もありました。迫害、弾圧、処刑、拷問、圧政、殉教など。
禁教、圧政とか締め付けはよくないなと思いました。
悲劇を生みます。


ダイバーシティや信仰、宗教の自由は理解しないといけない。だれもが好きなことを信じていいはず。


そして、鎖国で自国を閉じて、世界に背を向けてしまうのも良くないですね。これは個人にも当てはまり、自分の中に閉じこもったらいけないな、外に対して窓を開いていないといけないなと思いました。


また、この本では、歴史に名を残す有名な人だけではなく、一般の人の信念に従った生き方に焦点を当てています。各自が自分の信念に従って、自分の生き方を全うする、それがカッコいいなと思いました。


そして、これからも歴史をもっと知っていきたいです。