北条政子、徳川家康が読みふけった・・・
むさくるしさ
鐘が鳴り・・・
込み上げてくる涙
『新編 知覧特別攻撃隊 』高岡修 (著, 編集) ジャプラン/発売 亥辰舎
最近の九州の旅で一番心揺さぶられた場所が知覧特攻平和会館でした。
若き特攻隊員の遺書。親への手紙。寄せ書き。
親に対する、育ててくれてありがとうという感謝の気持ち。
親孝行できなかったことに対するお詫び。
特攻が親孝行で使命であるという考え。
死に場所を決めて、覚悟しきっている。心に決めている堅い決意。
絶対にやる!という意志の強さ。轟沈、必中必沈などの文字。
それでいて出発前に笑ったくつろいだ隊員たち。
自分だったらこんなに明るい様子で笑えるだろうか。
特攻隊員を見送る女学生たち。涙を見せてはいけないと言われてたらしいけど、特攻隊員を直視できず顔を背けながら見送っている写真。
平和がいいな。争いは無益な死を生む。戦争、核は良くないと思った。
隊員同士の友情も熱そうでした。
涙込み上げてくる体験は久しぶりで、その場で買ったのがこの本『新編 知覧特別攻撃隊 』です。
若き特攻隊員の写真、日記、遺書などがたくさん載っています。
親への感謝、家族への想い、愛国心、敵の空母必沈の決意が深く胸を打ち、命と平和の大切さについて考えさせられる一冊。
本当に行ってよかった。読めてよかったです。
自分も親への感謝を表したいと思います。
まずは父の日、母の日のプレゼントを贈ろうと思います。
少しだけ本文を紹介します。
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戦争は絶対に起こしてはなりません。
生を、死を、家族を、世界を思うとき、特攻隊員として散華した若き命の物語はこれからも多くのことを私たちに教えてくれるのではないでしょうか。
苦労ばかりおかけしたお父さんお母さんに、これからはうんと親孝行をしよう・・・何時も兄さんと言った言葉でした。
お母さんの有難味が解ったのは、東京へ出てからでした。
あれから余り家にいることもなく、ゆっくりお母さんに親孝行をする機会のなかったことだけ残念です。
種々の御高恩、十分のこともできず申し訳ありません。
25年間本当に有難うございました。
「どんなにして帰ってくるの?」と尋ねたら、
「ホタルになって帰ってくる」と言うのです。
そしたら、約束の時間にホタルがやってきたんです。
長い間ご養育下されましたことに対しましては厚く御礼申し上げます。
生まれて二十年ご両親様の御養育を受け、何の恩返しもできず、親不孝をお詫びいたします。
然し皇国の為、立派に死ぬことこそ軍人の本分です。
俺は幸福だった。
ついに最後まで「お母さん」と呼ばざりし俺
幾度か思い切って呼ばんとしたが
なんと意志薄弱な俺だったろう
母上お許しください
さぞ寂しかったでしょう
今こそ大声で呼ばしていただきます
お母さん お母さん お母さんと
では、お母さん、私は笑って元気で征きます
国のため死ぬ喜びを痛切に感じています。
栄光と落日
『クアトロ・ラガッツィ 上 天正少年使節と世界帝国(下)』
若桑 みどり
以前に上巻について書きましたが、下巻を読み終えたので振り返りも含めてご紹介です。
歴史に学びたい。最近その思いがあります。この本は出口治明さんのおススメで、徹夜で読み通したという本ということで読んでみることにしました。
あらすじを少し紹介します。信長の時代に、日本にキリスト教が来て広がっていきます。布教の運営側と宣教師たちは日本人の資質の高さと優秀さに気づき、その実状と成果の報告とともに、日本の布教のための財政支援を受けるために使節をローマ教皇の元に送ることになります。
上巻は、使節がスペインの国王に会うところまで、下巻は使節がローマに着いて、ローマ教皇に会うところから始まります。
その後帰国、秀吉の支配→伴天連追放令→殉教 →家康、徳川の禁教令と鎖国という時代の移り変わりの中で、日本でキリスト教が衰退していく、落ちていく流れになります。
最近自分で九州に行ってきて、現地で関連する歴史スポットにも行きましたが、理解が深まりましたし、想像以上に劇的な歴史の転換点を現場で感じることができました。
26聖人殉教の場(長崎の西坂)
隠れキリシタンの崎津集落(熊本の天草)
世界文化遺産の天草キリシタン館、コレジョ館
天草四郎ミュージアム
島原の乱の現場(原城跡)
など。
一方で残酷で衝撃的で胸が痛い部分もありました。迫害、弾圧、処刑、拷問、圧政、殉教など。
禁教、圧政とか締め付けはよくないなと思いました。
悲劇を生みます。
ダイバーシティや信仰、宗教の自由は理解しないといけない。だれもが好きなことを信じていいはず。
そして、鎖国で自国を閉じて、世界に背を向けてしまうのも良くないですね。これは個人にも当てはまり、自分の中に閉じこもったらいけないな、外に対して窓を開いていないといけないなと思いました。
また、この本では、歴史に名を残す有名な人だけではなく、一般の人の信念に従った生き方に焦点を当てています。各自が自分の信念に従って、自分の生き方を全うする、それがカッコいいなと思いました。
そして、これからも歴史をもっと知っていきたいです。
挫折を乗り越えて
クレイジーとロリコンと
最近、大阪国立国際美術館のロンドンナショナルギャラリー展で、久しぶりにゴッホのひまわりの絵を見ました。
昔からゴッホは好きだったのですが、これを機にもう少し理解を深めようと思って、以前に読んでいたこの本を再読してみました。
メインはゴッホとゴーギャンの生い立ちや人生、作風について書かれているのですが、それだけではなく、19世紀のフランス絵画から、印象派、ジャポニズムの影響、印象派からの旅立ち、後期印象派、そして近代絵画へという流れで、絵画史・美術史の大きな流れがつかめるかたちになっています。
ゴッホの感情的な表現と苦悩に満ちた人生、ゴーギャンの総合主義の表現の仕方や南国への憧れと現地での生活など、改めて彼らの人生を知ることができ、とてもよかったです。
ゴッホはクレイジーで、ゴーギャンは南国で浮かれたロリコンではないのか、というツッコミもできそうでしたが(笑)
セザンヌからピカソやジョルジュ・ブラックへ
ゴッホからマティスやフォービズムへ
という近代絵画へのつながりも理解できました。
また、今ある形式を超えようと、新しいものをつくろうとする芸術家の精神やスタンスが一貫してあって、かっこいいなと思いました。
絵画史の大きな流れも面白く、今後は絵を見るだけじゃなくて美術や時代の流れや背景も知っていきたいと思いました。
章立て
●印象派とジャポニズム
●印象派展と19世紀フランス
●印象派からの旅立ち
●フィセント・ファン・ゴッホ
●ポール・ゴーギャン
●近代絵画の時代へ