Takecの本ブログ

好きな本について。毎月『きっかけ読書会』を主宰。

北条政子、徳川家康が読みふけった・・・

 

『新訳 貞観政要』 田口佳史(PHP研究所

 

f:id:freude-am-lesen:20210211104916j:plain

 
北条政子徳川家康が読みふけったと言われるリーダーシップ・帝王学の古典『貞観政要
 
 
今年のテーマの一つに名著・古典再読ということを自分なりに掲げているので、この本も読んでみることにしました。
 
名著・古典の振り返り、アウトプットの繰り返しで、記憶に定着していくのではないかと思っています。
 
さて、田口佳史さんの本ははじめてですが、改めて『貞観政要』を読むことで、忘れていたことを思い出し、再度学びになりました。
 
もっと学ぶ
変化し続ける状況をよく見る
色んな人の意見を聞く。諫言を聞き入れる
自分の至らなさを語り、改善の努力をする
質素倹約
適材適所で人材を活用する
多様性を理解し、多様な知恵を取り入れる
 
などなど。
 
この機会を活かしていきたいですね。
 
もっと本を読み、学ぶ
ビジネス、経済、デジタルなど時代の変化の情報を取り入れる
部下やいろんな人の意見を聞く、諫言を聞き入れる
 
なるべく質素倹約
多様性を理解する。自分との違いに寛容でいる。
 
やっていきます。
 
本分の内容を一部紹介します。
ーーーーーーーーーーーーーー
 
人として大いに学問をしなければならない
 
人生や大事なことはすべて、書物に書かれているのだから、もっと学ばなければならない
 
国民の心に寄り添って窮状から救ってやり、しかし一方で道に外れたことは絶対に許さないという厳然とした態度で政治を行えば、国は自然と安定するだろう
 
変化し続ける状況をこそよく見よ
 
危ないと思うことがあったら、隠さずに極言してほしい。臣下は心に引っかかることがあれば言い、君主はそれに対して真摯に耳を傾ける。君主と部下がそのような関係でなければ、国を治めるにあたって大きな害をもたらすことになる。
 
もっとも難しいのは、いったん国が立つと、君主に驕りが生じることです。人々は戦乱の世を経て疲弊し、平和と安定を望んでいるのに、自分のわがままに任せて、国民を使役労役にこき使うようなことが多々起きます。国の衰亡というのは、常にこれによって起こります。
 
お互いの面子ばかり重んじる組織は滅びる
 
相互に指摘すべきことをしないでいると、問題が隠されてしまいます。
 
自分の足りない部分や劣る部分をなくしていこうと努力する姿勢を側近たちに見せることによって、側近たちの意識をも変えようとした
 
質素倹約は太宗の基本方針でした。
太宗が倹約をしていたわけでなく、側近全員が粗末な暮らしに甘んじていた
 
重要な職には、真に優秀な人間だけを登用するようにしなさい。
 
その人が今までどんな優れた行いをしてきたか、これから何かてきそうなのかをとことん精査する採用に力点を置くべきだと思います。
 
 
唐帝国の多様性
宗教の多様性を受け入れている
多様な知恵を取り入れる腹を固めているかどうか
 
現場を知らない人間が作戦を立ててはだめ。
 
本来君主たる者は自分の過失を指摘して諌めを言ってくれる臣を得て、それに支えられるべきである
 
健康状態をよく見て、時には休息させ、力を出し尽くしてもらわなければならない。そういう感謝の気持ちがなければ、馬に乗ることはできない。
 
明君といわれた人を徹底的に解明していくと、皆、共通点があります。それは兼聴です。一人の意見を聞いて満足してしまわず、反対の立場の人にも意見を聞く。
 
能力向上に努めて自分を磨いている人間を重んじる

むさくるしさ

 

f:id:freude-am-lesen:20210207110335j:plain

 
去年、ドストエフスキーの『罪と罰』をなんとか読み終えました。
 
その解説の中でドストエフスキーがシベリアで懲役、囚人生活を送っていたことが書かれており、その生活を元に書いた『死の家の記録』という本があると知りました。
 
罪と罰』で陰鬱な暗いストーリーを描くドストエフスキーがシベリアの囚人生活を書くとどうなるのだろう・・・という興味から読んでみました。
 
この『死の家の記録』の後ろについている読書ガイドによると、ドストエフスキーが、「1850年1月から54年1月までの四年間を過ごした西南シベリアのオムスク要塞監獄での体験に基づいて書いた作品」とのことです。
 
様々な囚人たちや前科、主人公の最初の疎外感、囚人の中での商売や金、囚人たちの集団での公衆浴場での風呂、クリスマスでの囚人たちの浮かれ騒ぎや芝居劇、囚人用の病院の中の出来事、列間笞刑の恐怖と痛み、収容所内の動物、仲間の脱獄、そして自分の出獄の瞬間。
 
など様々なことが細かく書かれています。とっても濃厚でディープで重苦しい。ロマンチックさのかけらもない。むさくるしい男の囚人たちの共同生活に入り込むような感覚ですが、1ミリも自分の現代生活に役立ちそうな気がしません笑
 
学んだ点としては、下記の点でしょうか。
 
「人間は皆、どんな身分であろうと、どれほどみじめな立場にいようと、本能的にせよ無意識的にせよ、やはり自分の人間としての尊厳が大事にされることを求めているのである」
 
「不幸な人たちこそ、とりわけ人間らしく遇するべきだ。それが彼らの救いとなり、喜びとなるからである」
 
不幸な人に、とりわけ人間らしく接する。これをやっていきたいと思います。
 
あとは威厳を出す、身体を鍛えるなどもやっていければと思います。
 
本分の内容を少し紹介します。
==================================
 
人間はどんなことにも慣れてしまう生き物だ
 
自由のはく奪、労働の強制、共生的な労働生活
誰もが一緒にくらしたいような相手ではない
 
シチューの中に大量のチャバネゴキブリが混じっていた 
 
笑い方でその人と人となりが解るような気がする
 
監獄の酒屋があらかじめ連絡を入れておいた運び屋が
牡牛の腸を持って現れる
ウォッカを腸に詰めて 体に巻き付ける
護送兵も衛兵もごまかす
 
色んな殺人者
 
自分が正しいと思ってる
懲役の方が娑婆より楽、パンはいくらでもある
 
いや人間を見抜くということは、時にじつに難しいものだ
 
金を持っている囚人は、一文無しの囚人に比べて、味わう苦しみが十分の一ですんだ
 
囚人にとって金よりも上位に位置付けられているものは何だろう?それは自由である
 
 
彼らはスクラートフが自制心を欠いていて、他人の前でしっかりと威厳をつくろうことができないでいるのが腹に据えかねるのだった
 
ただお人好しで工夫のないやつがすぐに馬鹿にされるのである
 
 
 
できるだけ外気に触れ、毎日疲れるまで体を動かし、重い荷を運べるようになれば、少なくとも自分の命は救えると思った
身体を鍛え、健康で、元気で、力強く、若々しい姿で監獄を出る
 
人間は皆、どんな身分であろうと、どれほどみじめな立場にいようと、本能的にせよ無意識的にせよ、やはり自分の人間としての尊厳が大事にされることを求めているのである
 
不幸な人たちこそ、とりわけ人間らしく遇するべきだ。それが彼らの救いとなり、喜びとなるからである
 
囚人のとって好ましいのは、見た目も立派で、どこかのもっとえらい長官に目をかけられていて、しかも厳格で、重厚で、厳正で、威厳を保っているような場合
 
自分を罪人と認め、体刑を受けて当然だと思っていたはずはない
良心の呵責に駆られている者など見たことはない
 
暴虐行為は習慣
どんなに優れた人間であっても、習慣の作用によって獣の域まで粗暴化し、鈍化することがあり得る
血と権力は人を酔わせる
 
 
不潔、過密、不衛生なたべもの どうでもよくなる
黒パンやゴキブリ入りシチューでもかまわず食べる
 
所詮私は仲間としては認めてもらえない
 
 
自由を待ち望み、早く来いと呼びかけた
 
この柵の中でどれほどの青春が理由もなく葬られ、どれほどの偉大な力が無駄についえたことか
誰の罪なのか?
 
自由、新生活、死者の世界からの復活
なんと素晴らしい瞬間だったことか

鐘が鳴り・・・

 

f:id:freude-am-lesen:20210131141612j:plain

 
九州の旅で訪れた長崎。
原爆関係の地には足を運ぼうと思っていました。
原爆資料館、平和記念像、平和公園
 
旅では心動かされる、揺さぶられる場所はありますが、これらもその一つでした。
 
その中で、原爆資料館永井隆博士の著作のことについて知り、読んでみようと思って手に取りました。
 
終戦のきっかけの一つとなった長崎の原爆。
 
この本はその現実を生き延びた人が原爆の現場を描いて、後世の人に伝えています。
 
原爆の爆発直前の光景、爆発直後の情景、原爆後の救護や周囲の状態、原爆の威力、原爆による傷や病気。
 
当時の凄惨な現実の世界に入り込んでいくような感覚でした。
 
読むだけでも信じられない光景や風景が頭の中に広がっていき、地獄のようなグロテスクな惨状に顔がひきつり、目をそむけたくなりました。
 
目の前で級友、友人、知り合いが息絶えていき、燃えて灰になる
外で広がる暗黒の魔雲、火の森林、見渡す限りの死人。
大学の校舎が燃え灰燼に帰し、天主堂が崩落。
そして終戦・・・
 
やはり戦争を起こしてはならない。平和を祈るばかりです。
 
最後、浦上天主堂の落下した鐘の音が自分の胸にも鳴り響いているかのようでした。
 
本当に長崎に行って、この本を読めてよかったです。
 
そして著者の永井隆さんの医者・科学者としての使命感、責任感がカッコよく、胸を打たれました。
 
自分の使命・・・自分にそんな大それたものがあるのかわかりませんが、もう一度見直して考えてみたいと思います。
 
それから、歴史を深く知るということ。今回凄くいい経験になったので、これもやっていきたいです。
 
 
 

込み上げてくる涙

『新編 知覧特別攻撃隊 』高岡修 (著, 編集) ジャプラン/発売 亥辰舎

 


f:id:freude-am-lesen:20210123095602j:image


最近の九州の旅で一番心揺さぶられた場所が知覧特攻平和会館でした。


若き特攻隊員の遺書。親への手紙。寄せ書き。
親に対する、育ててくれてありがとうという感謝の気持ち。
親孝行できなかったことに対するお詫び。
特攻が親孝行で使命であるという考え。


死に場所を決めて、覚悟しきっている。心に決めている堅い決意。
絶対にやる!という意志の強さ。轟沈、必中必沈などの文字。


それでいて出発前に笑ったくつろいだ隊員たち。
自分だったらこんなに明るい様子で笑えるだろうか。


特攻隊員を見送る女学生たち。涙を見せてはいけないと言われてたらしいけど、特攻隊員を直視できず顔を背けながら見送っている写真。


平和がいいな。争いは無益な死を生む。戦争、核は良くないと思った。


隊員同士の友情も熱そうでした。


涙込み上げてくる体験は久しぶりで、その場で買ったのがこの本『新編 知覧特別攻撃隊 』です。


若き特攻隊員の写真、日記、遺書などがたくさん載っています。


親への感謝、家族への想い、愛国心、敵の空母必沈の決意が深く胸を打ち、命と平和の大切さについて考えさせられる一冊。


本当に行ってよかった。読めてよかったです。


自分も親への感謝を表したいと思います。


まずは父の日、母の日のプレゼントを贈ろうと思います。


少しだけ本文を紹介します。
========================
戦争は絶対に起こしてはなりません。


生を、死を、家族を、世界を思うとき、特攻隊員として散華した若き命の物語はこれからも多くのことを私たちに教えてくれるのではないでしょうか。


苦労ばかりおかけしたお父さんお母さんに、これからはうんと親孝行をしよう・・・何時も兄さんと言った言葉でした。


お母さんの有難味が解ったのは、東京へ出てからでした。


あれから余り家にいることもなく、ゆっくりお母さんに親孝行をする機会のなかったことだけ残念です。


種々の御高恩、十分のこともできず申し訳ありません。
25年間本当に有難うございました。


「どんなにして帰ってくるの?」と尋ねたら、
「ホタルになって帰ってくる」と言うのです。
そしたら、約束の時間にホタルがやってきたんです。


長い間ご養育下されましたことに対しましては厚く御礼申し上げます。


生まれて二十年ご両親様の御養育を受け、何の恩返しもできず、親不孝をお詫びいたします。
然し皇国の為、立派に死ぬことこそ軍人の本分です。


俺は幸福だった。
ついに最後まで「お母さん」と呼ばざりし俺
幾度か思い切って呼ばんとしたが
なんと意志薄弱な俺だったろう
母上お許しください
さぞ寂しかったでしょう
今こそ大声で呼ばしていただきます
お母さん お母さん お母さんと


では、お母さん、私は笑って元気で征きます


国のため死ぬ喜びを痛切に感じています。

 

 

 


 

栄光と落日

『クアトロ・ラガッツィ 上 天正少年使節と世界帝国(下)』
若桑 みどり


f:id:freude-am-lesen:20210118084934j:image


以前に上巻について書きましたが、下巻を読み終えたので振り返りも含めてご紹介です。
 
歴史に学びたい。最近その思いがあります。この本は出口治明さんのおススメで、徹夜で読み通したという本ということで読んでみることにしました。


あらすじを少し紹介します。信長の時代に、日本にキリスト教が来て広がっていきます。布教の運営側と宣教師たちは日本人の資質の高さと優秀さに気づき、その実状と成果の報告とともに、日本の布教のための財政支援を受けるために使節ローマ教皇の元に送ることになります。


上巻は、使節がスペインの国王に会うところまで、下巻は使節がローマに着いて、ローマ教皇に会うところから始まります。


その後帰国、秀吉の支配→伴天連追放令→殉教 →家康、徳川の禁教令と鎖国という時代の移り変わりの中で、日本でキリスト教が衰退していく、落ちていく流れになります。


最近自分で九州に行ってきて、現地で関連する歴史スポットにも行きましたが、理解が深まりましたし、想像以上に劇的な歴史の転換点を現場で感じることができました。


26聖人殉教の場(長崎の西坂)
隠れキリシタン崎津集落(熊本の天草)
世界文化遺産の天草キリシタン館、コレジョ館
天草四郎ミュージアム
島原の乱の現場(原城跡)


など。


一方で残酷で衝撃的で胸が痛い部分もありました。迫害、弾圧、処刑、拷問、圧政、殉教など。
禁教、圧政とか締め付けはよくないなと思いました。
悲劇を生みます。


ダイバーシティや信仰、宗教の自由は理解しないといけない。だれもが好きなことを信じていいはず。


そして、鎖国で自国を閉じて、世界に背を向けてしまうのも良くないですね。これは個人にも当てはまり、自分の中に閉じこもったらいけないな、外に対して窓を開いていないといけないなと思いました。


また、この本では、歴史に名を残す有名な人だけではなく、一般の人の信念に従った生き方に焦点を当てています。各自が自分の信念に従って、自分の生き方を全うする、それがカッコいいなと思いました。


そして、これからも歴史をもっと知っていきたいです。

挫折を乗り越えて

f:id:freude-am-lesen:20201217083330j:plain

何度も何度も挫折しているドストエフスキー。『罪と罰』も『カラマーゾフの兄弟』も、途中で諦めた過去がありますが、今回はなんとか読み通せました。
 
復習のためにも、振り返ってみようと思います。
 
28歳のとき、フーリエ主義を標榜する反皇帝権力のサ空想的社会主義ークルペトラシェフスキーの会に連座し、死刑判決を受けます。
 
シベリアで10年懲役生活を送り、死刑執行の直前に恩赦で解放。
 
兄と雑誌の刊行、死の家の記録を「ロシア世界紙」に連載するも、刊行していた雑誌が非国民の雑誌として発行停止処分を受け、その後妻の死、兄の死、借金と苦悩が続く。
 
借金から逃れるために海外旅行に何度か出かけて、行先のドイツのヴィースバーデンでルーレット賭博にのめり込み金を失う。
お金のないドストエフスキーにホテルの人が食事はおろかロウソクすら持ってきてくれない。
そんなどん底の状況で書かれたのがこの『罪と罰』とのことです。
 
●社会的背景
この小説は、当時のロシアの社会をよく映し出しているようです。
 
1850年代末から60年代半ばの農奴解放前夜のサンクトペテルブルクは混沌とした犯罪都市となっていて、ドストエフスキーはこの都会に巣食う病弊をことこまかに再現していっています。
安酒や性風俗の乱れなどの街の異様な堕落。
圧倒的な男性社会にあって、女性はまさに性的ターゲットとなり、娼婦に身を落とすような状況が生じていたらしいです。
そして本当の宝石商 殺人事件をモチーフにこの小説が書かれたとのこと。 
社会主義のコミューンや、裁判の非効率さ、路上での児童の大道芸の禁止など細かいところまでリアルに描き出しています。
 
 
●あらすじ
貧乏学生のラスコーリニコフが主人公。
彼はみんなを避けてとおし、みんなの方も彼を相手にしなくっていきます。また、人を見下すような傲慢なところやひねくれた性格がありました。
 
大学を辞め、心気症や鬱っぽい精神状態であり、家庭教師などのアルバイトも放棄し貧困に陥っていく中で、金貸しの老女から金を借りていきます。
 
しかし彼は極貧と孤立からさらに苦しくなり、
金を奪って出世していこうと金貸しの老女を殺す計画を立てます。
 
彼には一種の選民思想があって、下記のようなコメントがあります。
 
「この世には、どんな無法行為だろうと、犯罪だろうと、それを行うことのできる人間が存在するという・・・いやできるなんてもんじゃなく、完全な権利を持つ人間が存在する」
 
非凡人の思想の実行にあたってその踏み越えが必要になる、そういう場合は殺人とかの行為も許容される、ということ。
 
つまり非凡人(主人公)が有害なシラミ(金貸しの老女)を潰すのは問題ないと。
 
そして殺人を実行に移します。
 
そこから犯行がバレないように振舞いながら、友人や母や妹、妹の婚約者とか近所の人とか、警察や娼婦との出会いや関係を経ていく中で、いろんな展開があります。
 
その中で彼は自分の、小心さ、卑劣さ、卑怯さに苦しんで自首していきます。
 
そしてシベリアに拘留されていく。
 
その過程で、ある女性との愛が最終的に芽生えていきます。居酒屋で知り合った男の娘、娼婦であるソーニャと。
 
彼はそこから更生していくだろうというところで物語は終わります。
 
●感想
感想としては、とても陰気で暗いなという印象です。
 
殺人も主人公の精神状態や鬱もひねくれた性格とか共感できない。ストーリーも。
貧乏、殺人、疑心暗鬼な人間関係、病気とか暗い要素がたくさん出てきます。
読むのがしんどい(笑)
 
ただ、すごいと思う点はありました。
心情の描写の細かさ。仕草や風景などの描写もめちゃくちゃ細かく、リアルに映像が浮き上がってきます。
また、予想不可の展開、読めない謎に満ちた展開、ミステリアスな雰囲気を出していて、ダークアートのような雰囲気があります。
 
あと、少しでも最終的に明るい要素はありました。母への愛、妹やソーニャへの愛、ラズミーヒンとの友情 などが垣間見られ、友達少ない中でも身近な人に愛され、みずからも愛を見出していくところは、ホッと光の指すポイントなのではと思います。
 
●啓発されたポイント
母への愛、身近な人への愛は大切だなと。
人を見下さない。選民思想はダメ。自分にできることはしれてるな、人間ちょぼちょぼやなと最近思うし、謙虚にならないといけないと思います。
 
●今後
今後やっていきたいのは以下のことです。
 
母の日にプレゼントする
身近な人に愛を持って接する
傲慢にならない。謙虚になる。
ドストエフスキーの本をもう一冊読む
 
また前に進んでいきたいです。

クレイジーとロリコンと

ゴッホゴーギャン』 木村 泰司 (著) 、ちくま新書

 

f:id:freude-am-lesen:20201216085006j:plain

 

最近、大阪国立国際美術館のロンドンナショナルギャラリー展で、久しぶりにゴッホのひまわりの絵を見ました。


昔からゴッホは好きだったのですが、これを機にもう少し理解を深めようと思って、以前に読んでいたこの本を再読してみました。

 

メインはゴッホゴーギャンの生い立ちや人生、作風について書かれているのですが、それだけではなく、19世紀のフランス絵画から、印象派ジャポニズムの影響、印象派からの旅立ち、後期印象派、そして近代絵画へという流れで、絵画史・美術史の大きな流れがつかめるかたちになっています。

 

ゴッホの感情的な表現と苦悩に満ちた人生、ゴーギャンの総合主義の表現の仕方や南国への憧れと現地での生活など、改めて彼らの人生を知ることができ、とてもよかったです。


ゴッホはクレイジーで、ゴーギャンは南国で浮かれたロリコンではないのか、というツッコミもできそうでしたが(笑)

 

セザンヌからピカソジョルジュ・ブラック
ゴッホからマティスやフォービズムへ

という近代絵画へのつながりも理解できました。

 

また、今ある形式を超えようと、新しいものをつくろうとする芸術家の精神やスタンスが一貫してあって、かっこいいなと思いました。

 

絵画史の大きな流れも面白く、今後は絵を見るだけじゃなくて美術や時代の流れや背景も知っていきたいと思いました。

 

章立て
印象派ジャポニズム
印象派展と19世紀フランス
印象派からの旅立ち
●フィセント・ファン・ゴッホ
●ポール・ゴーギャン
●近代絵画の時代へ