Takecの本ブログ

好きな本について。毎月『きっかけ読書会』を主宰。

挫折を乗り越えて

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何度も何度も挫折しているドストエフスキー。『罪と罰』も『カラマーゾフの兄弟』も、途中で諦めた過去がありますが、今回はなんとか読み通せました。
 
復習のためにも、振り返ってみようと思います。
 
28歳のとき、フーリエ主義を標榜する反皇帝権力のサ空想的社会主義ークルペトラシェフスキーの会に連座し、死刑判決を受けます。
 
シベリアで10年懲役生活を送り、死刑執行の直前に恩赦で解放。
 
兄と雑誌の刊行、死の家の記録を「ロシア世界紙」に連載するも、刊行していた雑誌が非国民の雑誌として発行停止処分を受け、その後妻の死、兄の死、借金と苦悩が続く。
 
借金から逃れるために海外旅行に何度か出かけて、行先のドイツのヴィースバーデンでルーレット賭博にのめり込み金を失う。
お金のないドストエフスキーにホテルの人が食事はおろかロウソクすら持ってきてくれない。
そんなどん底の状況で書かれたのがこの『罪と罰』とのことです。
 
●社会的背景
この小説は、当時のロシアの社会をよく映し出しているようです。
 
1850年代末から60年代半ばの農奴解放前夜のサンクトペテルブルクは混沌とした犯罪都市となっていて、ドストエフスキーはこの都会に巣食う病弊をことこまかに再現していっています。
安酒や性風俗の乱れなどの街の異様な堕落。
圧倒的な男性社会にあって、女性はまさに性的ターゲットとなり、娼婦に身を落とすような状況が生じていたらしいです。
そして本当の宝石商 殺人事件をモチーフにこの小説が書かれたとのこと。 
社会主義のコミューンや、裁判の非効率さ、路上での児童の大道芸の禁止など細かいところまでリアルに描き出しています。
 
 
●あらすじ
貧乏学生のラスコーリニコフが主人公。
彼はみんなを避けてとおし、みんなの方も彼を相手にしなくっていきます。また、人を見下すような傲慢なところやひねくれた性格がありました。
 
大学を辞め、心気症や鬱っぽい精神状態であり、家庭教師などのアルバイトも放棄し貧困に陥っていく中で、金貸しの老女から金を借りていきます。
 
しかし彼は極貧と孤立からさらに苦しくなり、
金を奪って出世していこうと金貸しの老女を殺す計画を立てます。
 
彼には一種の選民思想があって、下記のようなコメントがあります。
 
「この世には、どんな無法行為だろうと、犯罪だろうと、それを行うことのできる人間が存在するという・・・いやできるなんてもんじゃなく、完全な権利を持つ人間が存在する」
 
非凡人の思想の実行にあたってその踏み越えが必要になる、そういう場合は殺人とかの行為も許容される、ということ。
 
つまり非凡人(主人公)が有害なシラミ(金貸しの老女)を潰すのは問題ないと。
 
そして殺人を実行に移します。
 
そこから犯行がバレないように振舞いながら、友人や母や妹、妹の婚約者とか近所の人とか、警察や娼婦との出会いや関係を経ていく中で、いろんな展開があります。
 
その中で彼は自分の、小心さ、卑劣さ、卑怯さに苦しんで自首していきます。
 
そしてシベリアに拘留されていく。
 
その過程で、ある女性との愛が最終的に芽生えていきます。居酒屋で知り合った男の娘、娼婦であるソーニャと。
 
彼はそこから更生していくだろうというところで物語は終わります。
 
●感想
感想としては、とても陰気で暗いなという印象です。
 
殺人も主人公の精神状態や鬱もひねくれた性格とか共感できない。ストーリーも。
貧乏、殺人、疑心暗鬼な人間関係、病気とか暗い要素がたくさん出てきます。
読むのがしんどい(笑)
 
ただ、すごいと思う点はありました。
心情の描写の細かさ。仕草や風景などの描写もめちゃくちゃ細かく、リアルに映像が浮き上がってきます。
また、予想不可の展開、読めない謎に満ちた展開、ミステリアスな雰囲気を出していて、ダークアートのような雰囲気があります。
 
あと、少しでも最終的に明るい要素はありました。母への愛、妹やソーニャへの愛、ラズミーヒンとの友情 などが垣間見られ、友達少ない中でも身近な人に愛され、みずからも愛を見出していくところは、ホッと光の指すポイントなのではと思います。
 
●啓発されたポイント
母への愛、身近な人への愛は大切だなと。
人を見下さない。選民思想はダメ。自分にできることはしれてるな、人間ちょぼちょぼやなと最近思うし、謙虚にならないといけないと思います。
 
●今後
今後やっていきたいのは以下のことです。
 
母の日にプレゼントする
身近な人に愛を持って接する
傲慢にならない。謙虚になる。
ドストエフスキーの本をもう一冊読む
 
また前に進んでいきたいです。